ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

恥じらい忘れたくないね

ひらログの読者が100人を突破しました。当ブログの開設から1ヶ月あまり、私の書くものを読んでくださる方は、いまや私のともだちより多いということになります。ことばを好いてくれる人がいるのは、この上なくしあわせなことです。いつもありがとうございま…

おかいもの的倒錯

ひとに一目惚れをしたことはありませんが、ものにはよくします。今度の相手はビニール製のポーチでした。彩度を落としたトリコロールカラーみたいな配色、太めのペンで描いたイラストがかもし出す、すっきりしているのにあたたかい雰囲気、右上にいるハイヒ…

サディスティックマッサージャー

マッサージクッションなるものが売れているらしく、そこらじゅうで見かけます。あれのマッサージが私はどうも苦手です。もぞもぞした動きがくすぐったくてだめなのです。 サンプルに出くわすと必ず手に取って、克服しようと試みるのですが、何度がんばっても…

クセになる

「はさむと飛び出す! クセになる!!」とパッケージに書かれたクリップが、これまでにLOFTで出会ったなかで最も強気な商品です。紙を挟む器具の虜になった自分はなかなか想像できませんでした。クセにならなかったぞと言ってやるために買って使ってみようか、…

悪の美学

ひさしぶりに映画を観ました。メインヒロインでないほうの美女に惚れ込んでしまったからには覚悟していたことですが、しあわせな終わりかたをしてくれませんでした。映画のなかでは、男も女も、私が好きになると破滅してしまいます。 主人公の愛する女を圧倒…

続・Tシャツ

脇腹に穴を開けてだめにしたお気に入りのTシャツに、取って代わる一枚を見つけました。以前のものよりたよりない風合いは気がかりでもありますが、そんなところがなおさらかわいく、やはり迷わず買いました。ベランダに干しているあいだに、風に吹かれてど…

夏痩せ

人体に必要な栄養素すべてをバランスよく含んだ食品は存在しないというのが科学的事実であるとはいえ、なぜでしょう、納豆さえ食べれば生命を維持できそうな気がしています。それで夏休みの朝食は、ごはんに納豆としらすをのせたものばかりです。ついでに野…

持たざるもの

手持ちの服が少ないため、私の暦に衣替えはありません。狭いクローゼットに、薄手のブラウスも、スーツもドレスも、ブルゾンもチェスターコートも、いっしょくたに吊るしてあります。四季を一望に収められるつくりです。制服は手元に残っていません。膝に穴…

すきま

麦茶を取るついでということにして、冷蔵庫のなかに頭をつっこんで涼み、警告音にしばしば叱られていました。扉をしばらく開けっぱなしにしていると、知らせてくれるのです。長年のつきあいで鳴らないぎりぎりのタイミングを体得し、最近ではだましだましご…

Tシャツ

脇腹に穴の開いたTシャツを着て、今日は人に会ったようでした。帰ってから母が教えてくれました。服装について考えたくない日、つまり週の半分くらいは着ていたお気に入りをだめにした私に、これからは思考と決断を迫る毎朝が待っています。 本日より部屋着…

祭りのあと

ひさしぶりに降り立った小さな駅は、夏祭りが終わったばかりだというのに、つつがなく平日の夜を運行していました。過去の日付を記したポスターや、散乱するごみが見当たらないのは好ましいことです。 祭りにも引き際の美学はあります。街も人も、名残惜しそ…

より上へ

思春期が終わりに向かう道筋は、上限を志向しなくなる過程でもありました。できるかぎり速く弾こうと躍起になることは、もうできません。もとを取ろうと、一皿になるべくたくさん盛りつけようとするのもやめました。それらはいかにも少年らしい、あまりに素…

夏休みの宿題をぎりぎりになって片づける子どもは、そのまま、徹夜でレポートを書く大学生になります。ノートパソコンの画面と対峙し、窓の外が白みはじめるのを椅子の上で見届けることになると予期しながら、この感じははじめてじゃない、と懐かしさをおぼ…

37℃

熱がありそうなら、測らないことです。ほんとうにつらいときと、すぐに休めるときは別です。熱があるかもしれないけれど、ないかもしれないし、まだがんばりたい、というときは、検温をしないことにしています。熱があるとわかった途端に、自分は具合が悪い…

アイスミルク・ラクトアイス

食べるのが遅いと、棒アイスを買って屋外で開けるにも覚悟が必要です。牛乳と砂糖を固めましたと言わんばかりの、ひたすら白くて甘いのをよく買うのですが、ガリガリ君をはじめとする氷菓より溶けるのが早いような気がします。食べ切るまえに必ず垂れてきま…

官能ジャズ

ピアノの先生にジャズのワルツを聴いていただいたところ、「若いね」「色気がない」「それじゃマーチよ」とさんざんほんとうのことをおっしゃって笑われ、真実を言われて傷つかねばならないほどの、おのれの腕前に傷つきました。 数日後、近所のCDショップで…

夏のせい

夏のせいでしょうか。期末レポートが残っています。靴下に穴が開きます。自転車のそこらじゅうががたついています。私のせいでしょうか。 われわれが、短気、軽はずみ、無気力、ふしだらであるのを、すべて自分のせいにされることに対し、夏は怒りをあらわに…

思い出す事など

きわめていじけやすい性向ゆえ、一部の、昔の人を歌う歌を受けつけません。いつか誰かとまた恋に落ちても、のいつかの誰かにはなりたくない。「そいつを忘れたらおいで」と拗ねてしまいます。かといって、忘れさせてやる気概もない。五代くんと響子さんのゆ…

たつた一つの表情をせよ

「笑顔が一番」とはよく言ったものだけれど、これは根拠に乏しいと考えます。呆れている天海祐希も、誇らしげな吉瀬美智子も、無表情な松嶋菜々子も、生意気を言う米倉涼子も、神妙にしている仲間由紀恵も、呆けた顔の壇蜜も、怒り狂う柴咲コウも、泣き叫ぶ…

いつか王子様に

お姫様よりは王子様になりたい子どもでした。一緒に暮らすなら、相手は可憐なお姫様のほうがよかったのです。それに、王子様を待っているお姫様になるのはいやでした。迎えに来てもらうより、こちらから行きたかったのです。 守られるとか、抱かれるとか、ふ…

好きなことばは?

「好きなことばは?」という質問は、その発話の意図がわかりにくいです。いつ、だれから発せられるかといった背景を度外視して、語句そのものを好きにはなれません。あいつが「ばか」と言ったら許さないが、あの子の口からはぜひ聞きたい、ということもある…

一心に味わえ

仮に、タグをつけたまま裏返してTシャツを着ていたとしても、両方の鼻の穴から鼻毛が出ていたとしても、愛しい人のその姿はきっと愛しいことでしょう。けれど、イヤホンをつけたまま牛丼を食べるところを見たら、百年の恋も一時に冷めるだろう、と向かいの…

机上論

学習机の上に、ものをいっさい置かないようにしています。棚と電気スタンドも、すっきりさせたくて取り外しました。しかたなく置いてあるのは、ただちに片付けねばならない課題だけです。したがって、締切間際のレポートを抱えているいまは、紙と本が山積み…

「きらい(すき)」

女の子は好きだけれど、うまくしゃべれる相手は限られています。私がことばを額面通りにしか受け取れないせいです。愚直に「そうだね」とうなずいてうなずいて、このままいけるかと思いきや、「そんなことないよ」が模範解答となる場面でしくじります。 「も…

ポストチラリズム

道路に面した衣料品店の駐車場をバスから見下ろすと、ひとりの女の子がお召し替えの真っ最中でした。中学生であることは学校名入りのジャージからわかります。少女らはみな、服のなかで服を着替える早業を身につけているものです。素肌を見せることなく器用…

君はあのときの

「お砂糖はおひとつでよろしいですか?」に「ふたつください」と答え続けていたら、はじめから紅茶にふたつ添えてくれるようになった店員さんがいました。「おふたつで?」と笑いかけられるのが好きでした。 私のごとき「奥手なおじさん」は「店員が親しげに…

7時77分

インターネット上のレポートの提出期限は23時59分59秒。私の受けてきた授業はすべてそうでした。一日が終わるぎりぎりまで悪あがきを許してくださる先生のお気づかいにお応えすべく、58分ごろまで戦います。ただし、1秒でも締切に遅れたらおしまいです。デジ…

汚れたノート

講義のノートは手書きで取ります。ペンで字を書くのと、白い紙を汚すのが好きなのです。 思い返してみるとおかしなことに、書き損じを許せない小学生でした。きれいに消せなかった間違いのあとが目につくと、そのノートがまるごと気に入らなくなって、2、3…

こぼれるほど

徹夜でレポートを書こうと思い立って、カルーアミルクを作って、気分よく飲んで、そのまま寝入るのが、習慣になりつつあります。早めに設定しておいたアラームが鳴った1時間後くらいにようやく起きるところまでが、お決まりの流れです。 よくカルーアミルク…

ハイポテンション

どうやら血圧が低いらしいです。病院で測ってもらったところ、たしか90/60mmHgほどでした。深刻な病気ではないので、ほったらかしにしています。深刻ではないゆえに、かえって長い付き合いがつづいています。 腐れ縁の相手がほかにもいました。貧血です。採…

お勉強のしかた

日本漢字能力検定の2級に合格しました。受験のきっかけは単純です。準2級の保有者に張り合って、ひとつ上に申し込みました。取得した資格をなにかに役立てる予定はとくにありません。 とかく不純な動機から始めることには熱くなれます。試験勉強のようなお…

暗くして

「こだひらのツイートは自然主義だ」と幼なじみが言いました。文学史を聞きかじっただけの高校生のころでしたから、田山花袋の『蒲団』を念頭においてのことでしょう。そんなことはじめて言われたよ。 自然主義に傾いているつもりはありませんが、自分のこと…

SとMと

この店ではSとM、それからL。きのう入ったところはMとLだけ。最近よく行くところはRとL。いつも混んでいるあそこではS、T、G。飲み物を注文するだけの手続きに緊張がともなうのは、ひとつにはこれらの複雑なサイズ表記のせいでしょう。 しかも店舗…

ストレンジャー

私に話しかけてくる見知らぬ人は、きまって歳上の女性です。たいていはカフェかバス停で。たまに劇場で、100円ショップで、橋の上で。 さまざまな場所で交わした数々のなにげないことばのうち、いつまでも覚えているものがあります。楽譜をテーブルいっぱい…

ささやきあって暮らしたい

話し相手に「え? なに?」と聞き返されることが一連の会話のなかだけで何度もあって、すまなく思います。声が低いうえに小さすぎるようです。聞き手からしてちょうどよい声の大きさで話すと、自分には少しうるさくて困ります。 大きな声を出すのは、私にと…

ベテランペーパードライバー

運転の話になると、下手そうと必ず言われます。気遣いのできる同級生からは「車に乗っているイメージはない」と、やんわり。そしてそんな優しい物言いをする人はまれで、ほかには「あ。ってぶつけてそう」とか、「気づかないうちにやってそう。なんかバンパ…

「表紙に騙された」とはまた別の

探し物が苦手なので、図書館には目当ての資料を予約してから、受け取りに行きます。借りるのはだいたい、実物はおろか表紙の写真も見たことがないような本です。したがって、カウンターで手渡されるのは純然たる初対面の相手。なんとも現代的な待ち合わせの…

待つ

「サンダルを履いているのに爪になにも塗らないのって、全裸で歩くより罪深いらしいよ」と妹に教わってから、サンダルを履かなくなりました。サンダルは好きですし、また履きたいです。それなら、無知を装って罪を犯すなり裸の爪になにか着せてやるなりすれ…

ほんとうは造作なく声をかけたい

仲のよい人が同じバスに乗り込んできたのに気づきながら、声をかけませんでした。一昨日のことです。なにごともなく逃げおおせたので、私の勝ちとします。降り口のところでうしろから肩を叩いたらびっくりしてくれて、たいへん満足しました。具体的にどのあ…