ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

汚れたノート

 講義のノートは手書きで取ります。ペンで字を書くのと、白い紙を汚すのが好きなのです。

 思い返してみるとおかしなことに、書き損じを許せない小学生でした。きれいに消せなかった間違いのあとが目につくと、そのノートがまるごと気に入らなくなって、2、3ページにわたって書き込みをしただけのものでも捨てていました。失敗をなかったことにしたかったのだと思います。子どもに特有の浅知恵と潔癖です。うまく書けたものと、うまくいった記憶としか残したくなかったのかもしれません。

 ランドセルを背負っていたのも10年近く前のことになります。ミミズがのたくったような線の集まりを指さして、「ここ寝てた」と笑って済ますだけのおおらかさと図太さを得て、あるいは幼いときの感じやすさを失って、ずいぶんと大人に近づきました。つまずきも興奮も写し取って、講義を受けるごとにノートが汚くなります。汚くなるほどノートがかわいく見えてくるのです。一冊を使いきるまでとことん汚します。