ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

37℃

 熱がありそうなら、測らないことです。ほんとうにつらいときと、すぐに休めるときは別です。熱があるかもしれないけれど、ないかもしれないし、まだがんばりたい、というときは、検温をしないことにしています。熱があるとわかった途端に、自分は具合が悪いのだと身体が決め込んでしまうためです。

 熱があれば学校を休んでも許されるような気がして、37℃に達するまで水銀体温計の目盛を見つめていた14歳の朝がありました。母は「行きたくない」と言えばなにも訊かずに休ませてくれました。ただ私が、行きたくないというだけで行かないのはいけないことだと、決めつけていたのです。結局、その日は遅刻もせず登校しました。なんということはありませんでした。

 熱があって頭の冴えていることや、熱はなく気分のすぐれないことは、いくらでもあります。知ってなお、あの眼鏡より小さい器具が示す数字を私は恐れます。行きたくないことは行かない理由たりうると考える現在、見たくないのは高熱のほうです。「おまえは疲れているんだ」「もう寝ろ」「明日は出かけるな。約束を断れ」という言いつけのように思われてしかたありません。