ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

ぬくぬく

 軽音楽部に所属してバンドを組んでいた3年間、歌詞を書くのは私の役目でした。いとしくなるほどへたくそな詞を書いていました。思春期につきもののかたくなさと自意識過剰と、根拠のない自信と不安とをもって発せられることばには、めちゃくちゃなのに迫りくる趣があります。まじめに話す高校生を笑ってはいけません。

 自分もろくでもない詞を書いていたくせに、他人の書くものを批判的に読むこともありました。あのときもいまも、とがったことばは響いてこないのです。なにもかもが退屈だとか、この世界は腐っているとか訴えられても、それなりにがんばりを認められておもしろく生きてきたこの身には、ぴんときませんでした。大人はわかってくれないとも、男はばかだとも、女はずるいとも、まったく思ったことがなく、そう叫ぶ子がよき出会いに恵まれることを願うばかりです。

 言いたいことが言えないこともやりたいことができないこともなく、ぬくぬく育ってきたから、激しい気持ちを抱くことがないのでしょう。生き様がロックじゃないってやつか、とときどき気後れします。根深いぬくぬくコンプレックスです。でもしあわせだからいいや。